あれは冬の日。那須のカフェ、1988 CAFE SHOZOを訪れたときのこと。いつものように駐車場に車を停めて降りると、駐車場の隣にある赤い屋根の一軒家が目に留まった。そこはなんだか、「かの文豪がこの家であの名作を書いた」とでも云うような佇まいで、それに引き寄せられるように近づいて行くと、入口に電燈が微かな光を放ち、「白線文庫」という文字を照らしていた。なるほど。
ここが古本屋であることに静かな喜びを感じながら奥へ進むと、美しい女性がひとり。棚には、おそらくこの女性=店主が選んであろう、やはり佇まいの美しい、小説、エッセイ、画集などが並んでいる。こういう、「ここにあるものすべてが欲しい」と思わせるような本屋に出会えることは本好きにとって極めて幸福なことで、思わず「那須に向かう理由が増えたな」と独り言をつぶやいたのだった。
店主はこの店のことを「きっかけの古本屋」という。そこが本を好きになるきっかけになって欲しいという願いからか。それとも、そこで出会った本をきっかけに恋をして欲しいという願いからか。それはきっと、白線文庫を訪れればわかるはず。
「那須はちょっと遠い」という方には朗報。11月5日、白線文庫がカフェ&ミュージックフェスティバルにやって来ます。
白線文庫 小島佳織さんに聞きました
Q1 白線文庫の紹介を、カフェフェスのお客さまに向けてお願いします!
那須で唯一の古本屋。この町に古本屋があることで、誰かの何かのきっかけになれれば、そんな気持ちでお店をはじめました。散歩の途中で、あるいは旅の途中で、ふらっと立ち寄っていただければと思います。取り扱っているジャンルは広く、読んでおもしろい本はもちろん、佇まいの美しい本、本棚に並べたくなるような本を集めて並べています。
Q2 カフェフェスではどんな商品を販売して下さるのでしょうか?
カフェで読みたい短編小説、エッセー、詩集を白線文庫の本棚から選んで持って行こうと思います。他にも、食や暮らしに関する本、旅や山の本、絵本など。もうひとつ、今回のためにひとつ新しい商品を用意しています。表紙やページが欠損してしまって売り物にならない本を使って作った封筒です(上の写真)。かわいいのやらかっこいいのやら、きれいなのやら。今日も店主がひとりでせっせと手作りしています。お楽しみに。
Q3 カフェフェスをどんな風に楽しみたいですか?
出店側なのに、気分はお客さん。